80歳男性の患者さんが、右肩が痛いと言って来院されました。
私(何かされましたか?)
患者(何も心当たりはない、いつも右を下にして寝ているくらい)
私(安静にしていても痛みますか?どのような動作で痛みますか?)
患者(後ろに手を回す時に痛む(結帯動作)、安静にしていれば大丈夫。)
問診から得た情報で安静時痛がない。
視診で肩の腫れがない。
触診で熱感がない事を確認しましたので、強い炎症はないと判断。肩の拘縮などはなく、他動的には、どの方向にも肩が動かせるので、自発痛がある肩の内旋に関係する筋肉を治療しました。
治療後、痛みは半分くらい楽になりましたが、何かすっきりしません。再度問診すると、肩より肘を深く曲げるときが痛むと仰ります。
動作から割り出すと、上腕二頭筋よりも、上腕筋に問題がありそうです。
もう一度、詳しく問診すると、数日前に部屋の片隅にあった鉄アレーで、上腕のトレーニングをしたと言う事を思い出されました。
いわゆる、遅発性筋痛と呼ばれる病態なのでしょう。
症状は、すぐに取れましたが、上腕筋の治療を先に行えば、肩の治療は不要だったかもしれません。
80歳の方が、そのようなトレーニングをするとも思っていませんでしたし、患者さん自身も、記憶からスッカリ抜け落ちていたようです。
限られた時間内に、出来るだけ有用な情報を引き出すには、固定観念に捉われず、ニュートラルな思考で問診するべきですね。
画像が上腕筋です。
カテゴリ:治療室こぼれ話
ebara / 2014年01月07日(火) 07:52