過去に治療を行った症例報告です。治療部位毎に経緯などをまとめています。左側のカテゴリ選択から治療部位を選択できます。
物を持ち上げたときに、左の胸から背中に痛みが走り、2日間何も出来ず寝ていた患者さん。息を大きくすると痛みが走ります。念の為に肋骨付近のトラブルを疑いましたが、どうやらMPSのみのようでした。
手技の治療終了後、胸の方の痛みよりも、肩甲間部のほうに強い痛みが移動しました。肩関節の可動域も、まだまだ制限されています。
久しぶりに、左足の第4、5中足骨の最大圧痛とバイオイエローの効果を見て2個。左の孔最に1個追加。これで可動域は大きく改善しましたが、痛み自体は全て取りきる事が出来ませんでした。
本来、背部の痛みを膀胱系と考えると、小指の外側に反応点を求めるべきなのでしょうが、靴を履くときにバイオがこすれて痛む場合があるので、私は上記のようなやり方をします。
また、今回使用した孔最は、子午治療と言う意味あいもありますが、最初胸に痛みがあったので、痛みがあったほうの、胸を通る肺経を使ってみたら、さらに可動域が改善したと言う事です。
胸を通る経絡は他にもありますから、もっと丁寧にさぐればより良い効果が得られたかもしれません。ただし、最初の状態から考えれば合格点は出せそうです。
Aさん、70歳代男性。座っている姿勢から立ち上がろうとした時に右腰に痛み。腰を伸ばせない。
Bさん、60歳代男性。前かかがみになった時に右腰に痛み前屈困難。
Cさん、40歳代男性。長時間立っていると左脚が痺れてくる。
整形外科で背骨の歪みと骨棘が神経を刺激しているのが原因。働きすぎ、年のせいだから仕方ないと言われる。
AさんBさんは、罹患筋を特定して等尺性収縮を利用して治療。即座に完治といえるくらいに改善。どちらも、急性痛ですから、治療の押さえどころを間違えなければ、難しくない症例です。
問題はCさん。年間の休みが片手くらい。一日の睡眠が4時間程度、残りの殆どが立ち仕事。偏食傾向。症状が出てから時間が経過している事。オマケニ、医師によるレッテル。
小殿筋にジャンプサインがありました。罹患筋にアプローチした後に、仙腸関節を合わせるように矯正。上部腰椎の可動性の無いセグメントも矯正。
一通りMPSやTPの事、セルフメディケイトのやり方をお教えして終了。私は、生活習慣については、通常こちらから深入りする事はありません。ただ今回のケースは、治療だけで乗り越えられるか考えさせられた症例です。
私の院に来られる患者さんは、まずMPSの事を知りませんし、知ろうともしない方が殆どです。医師にヘルニアや脊柱管狭窄症、他の構造損傷と言うレッテルを貼られていられる方ばかりです。
http://junk2004.exblog.jp/13064961/
間欠性跛行(脊柱管狭窄症)は筋性疼痛。ほんとは、こう考えるのが一番理にかなってるのですけど。後は、患者さんがどのように判断してくれるかです。
70歳代の女性の患者さん。
左足に帯状疱疹ができて、痛みをかばって歩いていたら、反対の右脚が痛くなったので病院を受診されたそうです。
診断は、脊柱管狭窄症による腰下肢痛。歩くと脚が痛くなるのですが、自転車ならどこまでも行けるそうです。脊柱管狭窄症マニュアル通りですね。自転車でどこまでも行けるなら、下肢の動脈閉塞の可能性などは無いと判断できます。深部反射もMMTも全て正常です。
定期的に病院を受診しても、電子カルテを見ながら痛みはどうですかと聞かれるだけ触診などは一切なしで、座薬が処方されるだけで、湿布を希望しても、気休めだからと処方してもらえないと仰ります。不思議ですね、座薬も湿布も侵害受容性疼痛以外に効きそうにないのですが。。。
小殿筋にジャンプサインがありました。
私は単に反対の脚をかばっていたツケが殿部を中心に出ただけだと判断しました。
カテゴリ:症例報告 ,坐骨神経痛 脊柱管狭窄症
ebara / 2010年04月10日(土) 13:46
50歳代男性。
ピンポイントではなく、漠然とした左膝の痛みを訴える、主に膝裏に起こるが徐々に全体に移動する。腫脹や熱感はなし。動作制限もない。
ある競技に参加する為に重点的にトレーニングをしたのがきっかけらしい。それだけで充分治療するポイントは割り出せたので、罹患筋を数カ所特定してダイレクトにリリース。
特に、腓骨頭の筋腱移行部を押さえると、膝の内側に痛みが広がるようである。痛みは充分に和らいだのだが、どうも左の仙腸関節、左の肋骨など体幹の硬さを感じた。左に一本ピーンとした線を感じるような感覚である。自分の感じた説明をしながら患者さんに聞きなおすと、いつも左の肩に重たいものを担いで運ぶ事が多いそうである。
今回の症状とどう関係しているのかは分からないけれど、案外手先から伝わる感触は重要である。以前なら仙腸関節には、ガンステッドテクニックでリスティングを割り出しアジャストしていたが、今日はじっくりと軟らかさが出るように軽く圧を加えてみた。同じく肋骨にも軽く圧を加えてみた。後の治療は蛇足であったかもしれないが、身体をユニットとして見る事は重要な事には間違いではないだろう。実際呼吸も深く大きくなったようにも感じ取れた。
簡単に言えば、後の治療は自然治癒力を高めているようなものですから、呼吸が深くなって当たり前の事ですが。ただ、こうした治療は時間もかかるし、何より比較対象が出来ないので、何が何に効いたのか分らないので、自分でも新たな迷いを作ってしまうときがある。
・江原鍼灸整骨院. 電話 075-463-8639
・京都市中京区西ノ京御輿ケ岡町10番地
・営業時間 9:00~12:00 16:00~19:00(水・土 午前中)
・定休日 日曜日 祭日
鷲足とは薄筋と縫工筋、半腱様筋からなります。場所的には、膝の下の脛骨の内側部分になります。
60歳代の女性の患者さん。右の鷲足部分が1週間程前から痛み、階段の上り下りや、歩いたり押さえたりすると痛む。
しかし、動かしている間に痛みはマシになると言うものです。動かしていれば、痛みが楽になるパターンはよくあるケースです。言いかえれば、構造的な問題と関係ないとも言えます。
医師が診断すれば、鷲足炎と言う病名がつくと思います。ただ、足首が何らかの問題で回内位のポジションが固定され、痛みと関係深いようならば、そのような問題も含めて考察しなければいけないと思います。
大腿の筋にアプローチしていると、患者さんは全く触れていない反対の左脚にピーンと響くと、しきりに仰ります。これだから痛みは不思議ですね。
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年末から徐々に右側の殿部に痛みが起こり始めました。
近医にて殿部にTPB注射をされていたようですが、あまり効果がみられないので来院された80歳代後半の男性の患者さん。
初回、2回目と荒田起こしのように殿部の筋肉に鍼をしましたが、あまり効果がみられません。
実際は2回の治療でかなり罹患筋が処理できていて、痛みの範囲が限定されて来ているように思えるのですが、患者さんが効果が無いと判定しているのであれば方法を変える必要性も出てきます。
そこで、膀胱経と胆経の井穴から中足骨にかけて丹念に圧痛を探り、その圧痛点が効果あるのかどうかテストを行い、バイオイエローを貼り付けました。4か所貼り付けた時点で痛みは半減しました。後は操体を加え、心地が良い状態を感じてもらいました。
治療後は、かなり除痛できたように思えます。
一口に言っても腰痛の原因は様々ですが、多くは、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)と呼ばれるものだと思います。では、そのMPSの原因はと聞かれれば、様々な要因が絡み合っているとしか言えません。
30歳代の女性の患者さん、前屈するときや、いきむ時に(腹に力を入れる)痛みが出ます。
年末から痛かったそうですが、小さい子供から目が離せず時間が取れず、風邪も重なっていたので、たまりかねて昨日来院されました。罹患筋としては大腰筋がメインのような気がします。その筋肉に軽く鍼をした後、風邪も引いていたと言う事から、腹を診てみました。気になるところを内臓のマニュピレーションを加えて様子を見てもらいました。
その日の午後、ワイフが近くのスーパーでバッタリ会ったそうですが、腰痛も取れた上に、数日前からゲップが出そうで出なかったのだが、治療後はゲップもたくさん出て、お腹がすごくポカポカして大変楽になったと仰っていたそうです。
腰痛が内臓の働きとどう関係しているかは定かではありませんが、内臓の働きを活発にしてあげるだけで好結果が出る場合があるのは、まぎれもない事実です。暴飲暴食は内臓に大変負荷をかけている訳ですから、年末年始のツケがここに来て出ているのかもしれませんね。
2日前にサッカーの練習で転倒して受傷。朝から整形外科に出かけたが、あまりの混雑ぶりに私の院を受診したとのことである。
痛みのために、背屈動作が自動的にも他動的にもまったくできない。掌屈も半分くらいは制限され、回内回外も制限されている。前腕の伸筋の小指側の筋緊張が顕著である。
手根骨を詳しく探っていっても、著名な圧痛はないが、痛みが長引くようなら整形外科を受診して、骨折の有無が無いか診断してもらうように指示をして治療開始。
痛みが出ているのは、小腸経がメインのように感じたので、まずは同じ太陽に属する膀胱経を探るが、あまり反応が見られなかったので、陰陽交差に切り替えて一番反応のあった水泉に鍼をして、右手首の運動を繰り返させた。ここで大きく可動域と疼痛が緩和したので、バイオイエローを固定。
前腕の緊張が残る小腸経と、三焦経のラインに軽く単刺。これで痛みは少し残るものの、可動域は完全に正常に戻った。
時間に余裕があったので、今回の症状とは関係ないのだがハラを探ってみました。
異様に左側だけの圧が高まっているように感じたので、左が利き足か尋ねると、本来は右利きなのだが、左足で蹴るポジションを任されるようになって以来、左足のキックを集中的に練習していると言うので、腰仙部などのリリースを含めて、多角的にアプローチしました。
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今日、科学新聞社から送られて来た、カイロジャーナルに目を通した。
シルバーウィークに東京で行なわれた、加茂先生の痛みの講座の記事が出ていた。加茂先生の記事は、(いかに脳に介入するか)と言う言葉でまとめられていた。私も、まさしくその通りだと思う。
股関節を手術してから、痛みが酷くなった中年の女性が、久しぶりに来院された。
本人のお話では、術前は痛みが起こっても暫らくの間だけ痛いだけであったのが、術後は慢性的な痛みを抱え困っておられた。将来、このままでは歩けなくなるかもしれないと言われ、手術に踏み切ったそうである。おまけに術後は、股関節に負荷をかけないように、松葉杖の生活を1年間しいられたそうである。触診では患側の脚、とくに外側がパンパンだったのを覚えている。
今日の主訴は別にあったので、先にそちらを処置してから股関節や脚を触らせてもらった。触診しても、以前のようにパンパンに張った感じはなく、改めて患側の脚がどちらであったか本人に確認する程左右差は無くなっていた。
行なった治療と言えば、真似事のようなTP鍼が2回。患部中心の徒手治療が数回。あわせて5回程度。患者さんも、最近は痛みに悩まされるような事はなく、快調そのものだと喜んでおられた。この患者さんには、痛みに関する本をお貸しして痛みの勉強もしていただいた。
私自身は、今回の患者さんの場合、身体的な治療よりも、一時的な除痛と意識の変革→運動→自信→脳への介入。とうまくいったように思える症例であった。
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